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Ⅱ.呼吸器としての鼻

鼻は、感覚器(嗅覚)と呼吸器の二つの機能を併せ持った器官ですが、呼吸器としての鼻の役割は非常に重要です。なぜなら、鼻は、外界の温度がどれだけ変化しても、吸い込まれた空気を、わずかな間に肺の内部環境(温度37℃、湿度100%)に近い状態にまで整えることによって、肺を保護しているからです。そして、鼻の内部で、この役割を担っているのが粘膜を流れる血液なのです。このことから、治療(手術)にあたっても粘膜や動脈を損傷したり切除しないような配慮が必要です。

また、鼻は抵抗器としても機能しており、肺で多くの酸素が血液中に拡散できる状況をつくり出しています。口呼吸では、この役割を十分に果たすことができません。

鼻呼吸の持つもう一つの重要な役割として、脳および全身の生理機能の活性化が挙げられます。古来より、 "鼻からのゆっくりとした深い"呼吸が、心身の安定や集中力の向上に有効なことは経験的に知られており、ヨガ、気功、座禅などの呼吸法として用いられています。