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Ⅳ-1.「鼻づまり」と嗅覚障害

鼻から吸い込まれた空気は、下および中鼻甲介の前端部によって、鼻中隔と鼻甲介との間にあるせまい隙間の天井部分(嗅裂)へと導かれます。ここには、嗅細胞が分布している嗅上皮があり、嗅細胞の先端にある突起からは、においの分子受容体を持つ繊毛が粘膜表面に突き出ています。空気と共に運ばれたにおい分子はここで受け取られ、嗅細胞から脳へとにおいの信号が送られます。[図4-1-1]。したがって、嗅裂に空気が入り込めなくなると、においがわかりにくくなる嗅覚障害をきたします。

図Ⅳ-1-1

慢性鼻炎では、鼻腔粘膜が広い範囲で腫れてくるため、周囲から首を絞められるように鼻腔が狭窄して「鼻づまり」をきたすことは前述しました(⇒「鼻づまりとは」の項参照)。この粘膜の腫れが嗅裂まで拡大すると、嗅覚障害が現われます[図4-1-2]。慢性鼻炎において、「鼻づまり」とともに嗅覚障害を合併している例が多く見られるのはこのためです。

図Ⅳ-1-2