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Ⅳ-3.「鼻づまり」と喘息

鼻炎のある例には、喘息と診断されているかどうかにかかわらず、気管支過敏症の合併が多いことが知られています。気管支過敏症とは、乾燥した空気や冷たい空気を吸い込むとせきなどの気管支症状がでやすい状態を指しますが、同様に、気管支過敏症の重症型ともいえる喘息が鼻炎と合併しやすいことも知られています[文献24]。このようなことから、鼻炎と喘息は"気道粘膜"という連続した組織に生じた一つの疾患であるともみなされています[文献25]。

上気道の粘膜の炎症である鼻炎と、下気道粘膜の炎症である気管支過敏症ないし喘息との発病のメカニズムにおける因果関係とは別に、鼻炎によって引き起こされた「鼻づまり」は、下気道粘膜に炎症をきたしている例においては、喘息発作をはじめとする下気道症状を誘発する重要な要因となっています。これは、「鼻づまり」のために口呼吸になると、空気は鼻をバイパスし、鼻のもつエアーコンディショナー機能(⇒「呼吸器としての鼻」の項参照)が活かされないために、埃や有害物質を含んだ、また乾燥した冷たい空気が直接下気道に流れ込むためです。

喘息のある小児は、運動によって喘息発作(運動誘発性喘息)を起こしやすいことも知られていますが、喘息や気管支過敏症をもつ小児が活発な運動を通して健康な体を形成してゆく上で、鼻からの呼吸が重要であることが多くの論文によって指摘されています。

[文献24] Berger WE. Allergic rhinitis in children: diagnosis and management strategies. Pediatr Drugs 6:233-250, 2004.

[文献25] Grossman J. One airway, one disease. Chest 111(2):11s-6s, 1997.