content

Ⅰ-2.鼻粘膜の特徴と「鼻づまり」

鼻の粘膜は、もともと"腫れやすい"といった特徴を持っています。これは、血液をたっぷり溜め込めるスポンジ状の構造をした血管(容積静脈あるいは海綿状静脈洞)が粘膜の中に存在しているためです。容積静脈が存在する粘膜組織は、静脈性勃起組織とも呼ばれ、鼻腔の最前部(下鼻甲介の前端部と、これに対面する鼻中隔領域)によく発達しています。これがダイナミックに膨らんだり(腫脹)縮まったり(収縮)して粘膜の厚みを変化させ、鼻腔を通過する空気の量を調整しています[図Ⅰ-2-1・図Ⅰ-2-2]。

図Ⅰ-2-1

図Ⅰ-2-2

このような粘膜の厚みの変化は、数時間ごとに周期的にみられる例が多く、ネイザルサイクルnasal cycleと呼ばれています。ネイザルサイクルには、左右交互に腫脹が移動する例、一側だけに腫脹と収縮がみられる例、両側同時に腫脹と収縮が見られる例など、様々なバリエーションがあるようです[文献1]。このような特徴をもった粘膜に炎症性の変化が加わると、血液が停滞(うっ血)しやすくなり、その結果「鼻づまり」をきたします。

[文献1] Hanif J, Jawad SSM, Eccles R. The nasal cycle in health and disease. Clin. Otolaryngol. 25:461-467, 2000.