空気の取り入れ口である鼻(鼻腔)は、感覚器(嗅覚)と呼吸器の二つの機能を併せ持った器官です。
"香り"、"匂い"、"風味"など、嗅覚に関しては日常生活の中で意識されることが多いのに対し、呼吸はほとんど意識されることもなく、また呼吸における鼻の役割については考えることもありません。嗅覚については、Avery Gilbert著の「匂いの人類学」(原題「What The Nose Knows」)[文献7]や森憲作著の「脳のなかの匂い地図」[文献8]に、興味深い最新の知見が記されています。ここでは、生命を維持する上で嗅覚よりもはるかに重要と言える、 "呼吸器としての鼻"について説明します。
[文献7] Gilbert A.「匂いの人類学」(原題「What The Nose Knows」),ランダムハウス講談社:2009.
[文献8] 森憲作.「脳のなかの匂い地図」,PHPサイエンスワールド新書:2010.