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Ⅱ-5.脳および全身の生理機能の活性化

鼻呼吸の持つもう一つの重要な役割として、脳および全身の生理機能の活性化が挙げられます。古来より、 "鼻からのゆっくりとした深い"呼吸が、心身の安定や集中力の向上に有効なことは経験的に知られており、ヨガ、気功、座禅などの呼吸法として用いられてきました[図Ⅱ-5-1]。近年では、不安、抑うつ、ストレスに起因した種々の精神疾患の治療法としても取り入れられています。そのメカニズムについては十分に解明されているわけではありませんが、このような呼吸法が、迷走神経の求心性線維を刺激し、脳の辺縁系や視床下部を介して自律神経機能や内分泌機能を調整している可能性があると考えられています[文献12]。

図Ⅱ-5-1

[文献12] Brown RP, Gerbarg PL. Sudarshan kriya yogic breathing in the treatment of stress, anxiety, and depression: Part Ⅰ―Neurophysiologic model. Journal of Alternative and Complementary Medicine 11:189-301, 2005.